漫画『めぞん一刻』のメインキャラクターのひとり「五代裕作」。彼は物語開始時浪人生で、後に大学生となり、就職活動に失敗、フリーター生活を経て保父(保育士)となりました。
常に「金欠」状態の彼の生活を支えたのがアルバイトです。作中、数多くのバイト経験が描かれていて、そこからどのようにして「天職」のような保父の職に就くところまで行ったのか。
バイト遍歴をピックアップし、彼がどのようにして保父の道を見つけたのかをご紹介するとともに、保父を向いている理由、向いていると気づくまでの道のりやきっかけを探ります。
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五代くんの天職到達への道
| 作品名 | めぞん一刻 |
| 作者 | 高橋留美子 |
| 単行本1巻と最終巻発行日 | 1982年5月1日、1987年7月1日 |
| ジャンル | 青年、恋愛、ラブコメ |
| 発行社 | 小学館 |
| レーベル | ビッグコミックス |
| 巻数 | 全15巻(単行本) |
高橋留美子さんによる『めぞん一刻』。昭和の後期・末期に連載されていた、もはや「古典」とも言うべき作品ですが、令和の現代でも魅力を発し続けている名作ラブコメです。
今回は冒頭でも書きましたように、メインキャラの一人「五代裕作」のバイト遍歴と彼が保父の仕事に就くまでをご紹介しつつ、彼がどのように自分の向いている仕事に出会えたのか、に触れていければいいなと思っています。
ちなみに、現在は保母と保父という呼び方はしていません。「保育士」で統一されています。
しかし、本作では保母と保父と表記されているため、オリジナルを尊重して、当ブログでもその名称で統一させています。ご了承ください。
五代くんのバイト遍歴
五代くんの作中のバイトを挙げてみましょう。1巻から順番にいきます。
※書いているページ数は、オリジナル版の単行本に対応したものです。
序盤(1~5巻)
まずは物語の序盤、1巻から5巻を見てみます。
物語開始時、五代くんは浪人生の秋~翌年、大学1年生の夏です。
※具体的な年月がわからない場合は、キャラの服装の流れで季節感を判断しています。
作中明言されていないものの、浪人時代の受験シーズンに「明日……もし落っこってたら、つれて帰る」(122ページ)という祖母「ゆかり」さんのセリフがあります。つれて帰るのは実家へ、ですね。
であるなら一浪でしょうし、1巻での彼の年齢は18~19歳と思われます(以降、年齢は作中明記されていないため推測です)。1980~1981年。
- PART♥8 惣一郎の影;家庭教師:「響子」さんが嫁いだ「音無家」、亡き夫「惣一郎」の姉娘と思われる「郁子」の家庭教師を五代くんが大学1年のときにしています。
- PART♥10 金網は越えられない!!;氷の配達(自転車):詳細不明ですが「ちゃいますよ、バイトやってるんです 氷の配達」のセリフがあります(204ページ)
2巻は、大学1年生の夏からクリスマスまでです。
年齢は19~20歳。1981年。

- PART♥2 行きがけの駄犬;酒屋で酒の配達(自転車):「今度は酒屋のバイトかーっ。」という「一の瀬賢太郎」のセリフがあります(26ページ)。
3巻は大学1年の大晦日から、2年の夏前まででしょうか(季節で表記しているときは、キャラクターの服装で判断しています)。
年齢は19~20歳。1981~82年。
- PART♥1 あなたのソバで;蕎麦屋(自転車で配達?):年越し蕎麦でしょう、「ソバ屋でバイトなんで」と本人のセリフがあります(6ページ)。
- PART♥2 帰らざる彼;実家の定食屋「五代」(自転車で出前):バイトというよりお手伝いです。父から「裕作っ、出前行ってこい」と言われ自転車で出前をしているシーン(32ページ)。
4巻は大学2年の夏から秋頃まで。
年齢は20~21歳。1982年。
- 4巻でも郁子ちゃんの家庭教師は続けている様子(「PART♥3 ふりむいた惣一郎」50ページ)。
- PART♥4 ショッキング・ジョッキ」;ビアガーデンのウェイター:ビアガーデンのバイト先が舞台になっているエピソードです(80ページより)
5巻は大学2年の年末から春まで
年齢は20~21歳。1982~83年。
- PART♥2 星をつかむ男;不明(自転車で配送?):「これ、今日のバイト代」のセリフがあり(28ページ)、自転車の荷台に大きな段ボールを2段積んでいる様子が描かれています(29ページ)。
- 同話;店内飾り付け:友人「坂本」くんに誘われて。クリスマスから年末年始の飾り付けに切り替える内容のよう。
- 5巻でも郁子ちゃんの家庭教師は続けている様子(「PART♥9 配達された一枚の葉書」184ページ)。
- PART♥9 配達された一枚の葉書;不明:「バイト行ってきます」のセリフ(197ページ)ですが、郁子ちゃんの家庭教師の可能性はあります。
5巻終了時までをまとめますと、家庭教師と氷の配達(氷屋?)、酒屋、蕎麦屋、定食屋(実家)、ビアガーデン、荷物(段ボール)の配送、店内飾り付け、不明(家庭教師など既出のバイトを継続している可能性あり)の9(8)つのバイトをしています。
中盤(6~10巻)
続いて物語の中盤、6巻から10巻までです。
6巻は大学3年の春から夏まで
年齢は21~22歳。1983年。
※具体的な年月がわからない場合は、キャラの服装の流れで季節感を判断しています。
- PART♥8 夏色の風と;ラーメン屋の皿洗い:旅先で帰りの切符を破り捨ててしまい、金もなかったのでしょう、現地で稼いでいました(144ページ)。
7巻は大学3年の秋から翌年1~2月(学年末)でしょうか。
年齢は21~22歳。1983~84年。
- PART♥3 一の瀬氏、走る;酒の自転車配送?:管理人さんに「バイトに行ってきまーす」のセリフがあり、自転車の荷台に瓶ケースを2台積んで走っている様子が描かれています(52~53ページ)。
8巻は大学4年の春から夏にかけて。
年齢は22~23歳。1984年。
- PART♥3 闇の中の顔;郁子の家庭教師:「家庭教師を始めて3年になるけど」のセリフがあるため、ずっと続けていたようです。(52ページ)。
9巻は大学4年の夏から翌年1月にかけて。
年齢は22~23歳。1984~1985年(9巻187ページに「一九八四・大みそか」と表記)。
- PART♥2 見栄リクル―ト;高級ホテルのプールバー(?)のボーイ:バイト先のプールが舞台になっています。(24ページより)。
- PART♥9 ひとつだけお願い;人形劇:彼が大学でサークルに参加していながらほぼ参加していない「人形劇クラブ」の「黒木」さんから、かつて部長だった男が卒業後保育園に就職し、そこでクリスマス公演があるからと、響子さん共々誘われて参加しています。「保育園主催、バイト料が出る」と黒木さんのセリフ(170ページ)。
10巻は大学4年の1月から夏にかけて。
年齢は22~24歳。1985年。
- PART♥5 桜迷路;保育園:保母として保育園に就職した、上述の黒木さんの紹介(91ページ)
「PART♥4 バラ色の人生」にて、大学卒業&就職した先の会社が倒産してしまい無職、フリーター生活に突入します。
「PART♥9 とっても好きだよ」にて、働いている保育園が「しいの実保育園」と判明します(185ページ)。
6巻から10巻終了時までをまとめますと、家庭教師とラーメン屋、酒屋(?)、プールバーのボーイ、人形劇、保育園の6つのバイトをしています。
家庭教師は以前から続けているものですし、酒の配送も2巻のところの同じ酒屋かもしれません。
また、10巻「PART♥5 桜迷路」では、郁子ちゃんの家庭教師は既に辞めていることが判明しています。「あたしの家庭教師も続けてればよかったのに」(93ページ)。
理由は「まー おにいちゃんの学力じゃ、高校二年の英語についてこれないかもねー」ということです。
どのタイミングで辞めたかの言及はありません。
終盤(11~15巻)
そして最後、物語の終盤、11巻から15巻までです。単行本では15巻が最終巻となります。
※具体的な年月がわからない場合は、キャラの服装の流れで季節感を判断しています。
11巻は大卒後フリーターの夏から年末にかけて。
年齢は23~24歳。1985年。
- PART♥6 秋の罠;家庭教師:八神いぶきの罠にはめられ、彼女の家庭教師になるエピソードです(106ページより)
12巻は大卒後フリーター1~2年目、元日から春にかけて。
年齢は23~25歳。1986年。
「PART♥3 シャボン玉 翔んだ」にて、「今年はがんばって保父の試験パスしますからっ」と、本格的に保父を目指していることが初めて明言されます(45ページ)。それまでに職業として保父となるセリフはなかったかと思います。
しかし同話で、しいの実保育園の園長からクビを宣告され無職になります。理由は不景気対策の人員削減です(60ページ)。
- PART♥5 沈黙は金ヅル;キャバレーの呼び込み:友人の坂本くんから紹介されて(89ページより)。全国チェーンの宣伝部と言われただけで引き受けてしまったことも原因でした。
- PART♥9 菊と積み木;キャバレーの宣伝部兼福利厚生部部長:保育園での経験から、ホステスさんが働いている間、子どもたちの面倒を見ることになりました。
キャバレーでは「五代社員」と呼ばれていますから正社員としての契約をしている可能性はあります(「PART♥9 菊と積み木」160ページ)。
しかし、例えば会社の慣習として、アルバイトを含めた従業員全員に「社員」呼びをしているだけかもしれません。アルバイトなのか正社員なのかの判断は難しいですけど、前後の物語の流れからするとアルバイトとすることが自然でしょう。
13巻はフリーター2年目、夏にかけて。
年齢は24~25歳。1986年。
14巻はフリーター2年目、夏から秋、初冬にかけて。
年齢は24~25歳。1986年。
15巻はフリーター2年目(※)、冬から春。
年齢は24~26歳。1986(?)~87年。
※13巻から15巻の「PART♥5 不幸な人々」まで、バイト関係で変化を描かれていないため、キャバレーの呼び込み&子どもたちの世話をし続けたと思われます。
※「PART♥3 TEL YOU SWEET」で保父試験に合格し、「PART♥5 不幸な人々」で「しいの実保育園」に正社員として就職も決まりました。
以上です。
終盤のバイトは、保育園と八神の家庭教師、キャバレー(呼び込み&子どもの相手)です。就職への道筋が見えていることがあり、ぐっと減少しています。
五代くんのバイトの特徴
以上、挙げました五代くんがあれこれと手を出したアルバイトの特徴を見てみましょう。
長期
長期で働いていたバイトというと「家庭教師」が該当しそうです。
※ここで言っている長期・中期・短期とは、一般的な分類ではなく、あくまでも五代くんが経験したバイトの中での「相対的」なものです。
郁子ちゃんの家庭教師は、大学1年から4年の途中までしていたみたいですから、数多いバイト経験の中で最も長く働いていたことになるようです。
郁子ちゃんは、家庭教師をした先は響子さんが嫁いだ音無家の人間です。響子さんの姪と思われます。
上に書きました五代くんの教育実習先の高校(響子さんの母校)も音無老人(響子さんの義父)の斡旋ですし、響子さんの亡夫・惣一郎さんが非常勤講師をしていた高校でもあります。
音無老人はその学校の理事を担当しているため、五代くんも惣一郎さんも同じ手で「ほーりこんだ」(9巻「PART♥3 VS.乙女」44ページ)そうです。
理事をするくらいですから音無家は裕福な家庭の可能性が低くありません。
郁子ちゃんが高校受験で志望校に合格できた実績もあり(郁子ちゃんの頭のよさの可能性が大いにありますが)、給料はそれなりの額が支払われていたのではないかと思われます。
しかし、五代くんは常に貧乏生活をしているので、給料が安かった可能性も否定できません。高かったとしても、一刻館の住人にたかられていたのかもしれません。
あまり語られることはありませんけど、家庭教師として長期間働けたことは安定収入を得られたでしょうから、彼の生活を大いに支えたことでしょう。
中期
中期で働いていたバイトは「キャバレー」と「酒屋」です。
キャバレーに関しては、物語の終盤はストーリーの進行がゆっくりになっているので、働いていた期間が長く感じられますけど、大学卒業後のことですので、そこまで長くなさそうです。
しかし、キャバレーは物語終盤の彼の生活を支えていたはずですので、重要度は高かったでしょう。
酒屋は3回登場するため、トータルの期間は長そうです。しかし同じ店で働いていたかの情報が一切ないため、異なる店の可能性を否定できません。
物語にも深くは絡んでこないので、重要度も大して高くないでしょう。
短期
短期で働いていたバイトは、その他すべてです。
これらは物語を展開させるために必要な舞台設定となっていることが多い印象です。
例えば、1巻の氷屋は、五代くんが自転車で氷を運んでいたから、響子さんと「三鷹」さんが出会うテニスコートでのシーンを目の当たりにできました。
実家での手伝いも、彼の妄想癖と絡めて、両目の周りにアザを作るきっかけとして、作者が彼を働かせている節があります。
プールバーでも、就職活動をせずに彼が働いているところに、響子さん(と三鷹さんと一刻館のメンバー)が彼が働いているとは知らずに遊びにきたことで、就職活動だと見栄を張っていたことがバレてしまいました。
特に物語の序盤は、(大きな物語の流れはあるにはあるものの)1話完結ものが多かったですから、彼のバイトは舞台装置として機能させている気配が強いです。
当然ながら短期バイトの数々も大なり小なり彼の生活を支えたでしょうけど、物語的にも金銭的にも、家庭教師やキャバレーほどの重要さは感じられません。
自転車
氷の運搬と酒の配達、実家の定食屋の出前。これらはいずれも自転車を利用したバイトです。
家庭教師、ボーイ、店内の飾り付け、人形劇等々を含めても、自動車やバイクを利用したものは一つとしてありません。
つまり彼は自動車とバイクの免許を持っていません。それどころか作品を通して彼が自動車の運転、バイクの操縦をした場面がありません。
2巻「PART♥2 行きがけの駄犬」41ページに「ぼかあビンボー学生ですよ 免許なんてとてもとても……」というセリフがありますように、お金の問題で免許を取得することのできない事情がありました。
仕送り
実は五代くんは実家から「仕送り」をしてもらっています。
正月にも帰ってこないで………ばーちゃんがさびしがってるよ。
5巻「PART♥6 なんて器用なの」122ページより
そんなわけで、今月は 仕送りしないからね。
実家の母親との電話の内容です。
ご覧のとおり、今月”は”仕送りをしないと言っているのですから、先月までは仕送りをしていた、と受け取ることができます。
5巻ですと郁子ちゃんの家庭教師もしていましたし、他の短中期のバイトもしていたはずですから、実際問題、大して貧乏ではなかったのではと思います。
一の瀬さんと四谷さんと朱美さんという一刻館の住人たちにたかられていた金額が、仕送り+バイトをしていてもなお、常に貧乏暮らしを強いられるほどの額に及んでいたのかもしれません。
保父が向いている理由と物語の流れ
ここまで書いてきましたように、五代くんは学生時代からフリーター時代まで様々なアルバイトを経験し、最終的に保父の職にたどり着きました。
そ、そうだよな。
12巻「PART♥3 シャボン玉、翔んだ」56ページより
やっぱ、この仕事おれに向いてるし、
保父の仕事が向いている、と自ら語っているシーンが12巻にあります。
どうして彼は保父の仕事を向いていると思えたのだろうと、物語を読み返すと、彼はこの場面で唐突に思えたのではなく、それまでのストーリーに彼が向いていると思える流れが描かれていることがわかります。
器用
それは五代くんは「器用」という設定です。この設定は序盤にあります。
へー、五代くん器用じゃない。
2巻「PART♥8 キャンパス・ドール」144ページより
人は見かけによらないわねー。
大学の「人形劇クラブ」というサークル活動中の一コマ。彼が人形劇で使う人形を作ったようです。
しかし、この後彼が器用である設定は高橋留美子さんから忘れ去られたのか、活かされる機会は物語終盤になるまで登場しません。
子どもに好かれる
彼は子どもに好かれる性質です。
A「だけど五代くん。結構むいてんじゃない? この仕事」
10巻「PART♥5 桜迷路」100ページより
B「そーね、子供に好かれやすいタチだし」
引用部にあるように、「子どもに好かれやすいタチ」と言われています。
また、このときに器用設定が再び取り上げられています。
郁子ちゃん(や八神、七尾こずえも?)に好かれているのも、このタチと無関係ではなさそうです。
メタ的に言えば、そういう過去のエピソードを描いたから、終盤、彼が子どもに好かれる性質に設定された、という向きもあるかもしれません。
人形劇クラブ
人形劇クラブには大学1年次の秋、2巻「PART♥6 桃色電話」から入会しています。
黒髪でストレートの長髪の女性「黒木」さんから声をかけられ、恋の告白だと勘違いした五代くんは誘われるままに彼女についていくと人形劇クラブのサークル活動の現場でした。
学際のために舞台の準備をしているけど人手が足りないから、どこの部活にもサークルにも参加していない五代くんに白羽の矢が立ったようです。
彼は人形劇に興味がなかったようですけど、「ブチョー」(黒木さんの部長の呼び方)の他は皆、女性で、彼女たちに頼まれたことで、入会を決めました。
入会がそんな理由だったこともあってか、彼のサークル活動はほぼ描かれていません。
どれだけサークルに参加していたかはわかりませんが、物語を読むかぎり大学以外での活動(それこそバイトが忙しかったでしょうし)ばかりです。ろくに顔を出していなかったのだと思われます。
そういう不純な理由で入っていますけど、この人形劇クラブに入会したこも、後々に生かされていると言えるでしょう。彼が器用である設定もこのときに生まれています。
と言いますのも、人形劇ですから当然、劇を見せる相手は子どもたちだからで、それは保父の仕事に通じていると言えますよね。
黒木さんもブチョーも、大学卒業後に保育園に就職しています。
家庭教師
家庭教師のバイトも無駄ではなかったでしょう。
中学生の郁子ちゃんに勉強を教えていたこと、郁子ちゃんを好きな賢太郎くんも一緒に教えていたこともありました(2巻「PART♥4 メモリアル・クッキング」70ページ)。
郁子ちゃんとの接している場面を見ると、先生と生徒という上下関係は強くなく、郁子ちゃんとほぼ対等に立って話し相手になっています。1巻8話、2巻4話など。
一の瀬賢太郎
賢太郎くんは、五代くんが住んでいる下宿屋「一刻館」の1階で、父と母と3人で暮らしています。
五代くんとの交流も、特に物語の最序盤は多く描かれています。例えば1巻2話や3話、4話、2巻1話、2話、3話、4話。
五代くんは姉が一人いたはずで、弟や妹がいることは描かれていないため、彼は五代家で一番年下でした。
しかし、一刻館に賢太郎くんという年のだいぶ離れた子がいたこと、彼と接してきたことで、年少者との距離感の取り方、接し方を知らずに学んでいた可能性はありそうです。
教育実習
大学時代に教育実習をしたことも無関係ではないかもしれないですね。
相手はだいぶ精神的にも大人に近づいている高校生ではありますが、人に接したり教えたりすることの難しさは、実習の場面にも描かれていて、彼の経験になっている可能性があるからです。
9巻3話「VS.乙女」や同4話「こころ」がそれ。
しいの実保育園
そして、就職活動に失敗し無職になったときに、黒木さんから誘われて、彼女の働く「しいの実保育園」でアルバイトをすることになります。
ここでの経験が、彼の保父への道を決定づけました。
A「だけど五代くん。結構むいてんじゃない? この仕事」
10巻「PART♥5 桜迷路」100ページより
B「そーね、子供に好かれやすいタチだし」
先ほどもご紹介した会話です。
画像と引用部は10巻「PART♥5 桜迷路」で、この話から、彼は保育園でバイトを始めます。
ここで保父の仕事が向いているのではないか、と同僚の保母さんから言われています。
A「おしめ かえるの うまいしねー」
五「手先の器用さだけが、とりえですから………」
ちなみに画像の続きとして、上記のコメントがあり、ここで彼が器用である設定が再浮上していますね。
彼の就職に関して言えば10巻、とりわけ10巻5話前後はとても重要なエピソードになっています。
ちなみに保父のバイトがクビになった12巻「PART♥3 シャボン玉、翔んだ」55ページでは、その直前に、園長から「彼なら資格さえとれば、どこででもやっていけるなあ……」と言われています。お墨付き。
キャバレー
先述しましたように、彼はその後、保育園のバイトをクビになってしまいます。
その後キャバレーの呼び込みをするのですが、その流れからホステスさんの子どもを預かることになります。福利厚生部長ですね。
そこで保父としての経験が活かされキャバレーとホステスさんたちは助かりましたし、五代くんにとってもキャバレーでも子どもたちと触れ合うことから離れなかったことで、おそらくパートタイムではあるものの、絶妙に保父の仕事と関連付けられる職に就くことができました。
そして、器用である点はここで活かされています。
キャバレーの子どもたちが遊べる道具がないことで、木て積み木作っていました。木の板で大きな積み木のブロックを作って、色を塗って絵を描いてあげて。
保父に通じる
このように挙げてみますと、彼のこれらの経験はすべて、保父の仕事に通じているように見えてきます。
郁子ちゃんや賢太郎くん、八神たち女子高生、園児たち、子どもに教えること・接することに慣れていった・学んでいったという意味で。
そして保母さんや園長先生からも、保父が向いていると言われたこと。
それらの経験が、あるとき、先ほど引用した12巻「PART♥3 シャボン玉、翔んだ」56ページでの「この仕事おれに向いてる」発言に見られる実感なのでしょう。
なので、向いていると彼自身が気付いたのはこのタイミング! というピンポイントで指摘するような話ではなく、積み重ねなのだと思います。
五代くんは幸運だった?
一方で、彼が保父の仕事に就けたことは幸運とも言えます。
黒木さんという存在
黒木さんの存在がとても大きかったように思えるので。

物語において黒木さんはほとんど登場しませんし、五代くんとは最初の出会い(画像)とそれに関係したエピソードくらいで、他は全くと言っていいほど絡んでこないキャラクターです。
しかし、彼を人形劇クラブに誘ったのも黒木さんですし、しいの実保育園に誘ったのも、自身の結婚でできる空席を五代くんに託そうと直接伝えてくれたのも彼女でした。
彼女がいなかったら、彼の保父の道はなかったと言いきれるくらい、かなりなキープレイヤーでしょう。
天職と出会えたのはむしろレア?
世の中、彼のように不運に遭いながらも、天職とまで言うと大げさかもしれませんけど、自分に向いていると思える職業を見つけられ、その職に従事できる人って、そうそういないと思います。
もちろん『めぞん一刻』はフィクションですから、五代くんは響子さんと結婚をする結末ありきで、それまでの展開が決められていったでしょうから、ご都合主義と言えばそのとおりです。
世の中ではむしろ、向いている向いていないなんて気づけないまま、もっと言えば向いていないと思っていながら仕事を続けている方も大勢いらっしゃることでしょう。
本作においても、向いていないと思っても仕事を続けている人がいるかどうかは、特に言及がないのでわからないものの、全員が全員、天職を見つけられているとはかぎらないです。むしろそうでない人の方が多いかもしれません。
例えば、響子さんもそう。夫が亡くなっていなければ、夫のために尽くしたかったでしょう、たぶん。夫の生前には、自分が近い将来、下宿屋の管理人になるなど考えもしなかったはずです。
三鷹さんも、素人の奥様を相手にテニス教室の先生をしたくしてしている訳ではないかもしれないですね。本当はプロのテニスプレイヤーになりたかった、みたいなことがあるかも。
「朱美」さんだって、望んでスナック「茶々丸」でホステスをしている訳ではないかもしれません。
やはり一流企業でバリバリ働きたいと……
9巻「PART♥1 青田枯れ」8ページより
第一志望は東京海上火災、さもなくば三井、三菱、あわよくば松下、住友…
引用部のように、五代くんにしても、学生時代に就職活動を始めるにあたっては「サラリーマン」を志望していました。
実際に商社「三友商事」の面接を受けていますし、三友の関連会社、コンピュータのソフトを扱う「霞商会」への就職も決まっていました(9、10巻)。
結末から遡れば、この失職がなければ、向いていると思える保父の仕事との出会いはなかった訳で、不幸にも幸運な遠回りだったのではないか、と思えます。
まとめ
まとめます。
『めぞん一刻』のメインキャラの一人「五代裕作」は、学生時代から様々なアルバイトを経験、就職活動の失敗、そして保父のバイトに出会ったことで、自分に合っていると思える就職先を見つけることができた。
幸運もあったが、彼の特徴や性格、性質が向いているばかりでなく、彼のこれまでの経験が活かされる就職先になっている。
失職をしたこともあり遠回りはしたものの、遠回りがなければ保父の仕事には出会えていなかったはずで、一時期の不幸も長い目で見れば幸運だったのだろう。
というのが、私なりの解釈と感想でした。
本文に書いたことは私なりの意見や解釈でしかありません。決して情報を鵜呑みになさらず、参考程度に抑えて受け取ってくださると幸いです。
ということで、今回はここまでになります。
最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。
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