『スキップとローファー』志摩と向井の「どの好きがすごい」談義が面白い

スキップとローファー
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スキップとローファー』の「志摩聡介」と「向井司」が53話「ドキドキの海<3>」(9巻150ページ辺り)で「どの『好き』がすごい」と思っているかの談義をしています。
旅先の露天風呂の内風呂で。

この話はちょっととっつきにくいものがあるのですが、しかし、志摩の恋愛観を理解するのに重要なやり取りと思いました。
どういう内容かの簡単なご紹介と、私なりの解釈なり考えなりをこの記事では書いていきます。

ネタバレについては、アニメ1期終了以降の内容に触れています。そのためアニメ版だけから情報を取得している方にとっては強めのネタバレになり得ます。バレても大丈夫な方のみ下方スクロールをお願いいたします。

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スキローの志摩と向井

作品名スキップとローファー
作者高松美咲
ジャンル青年、学園、恋愛
発行社講談社
レーベルアフタヌーンKC

前情報としましては、私は単行本派です。掲載誌『月刊アフタヌーン』を購読していません。
本文に書かれている内容は単行本の最新巻からの情報のため、最新ではない点をご了承なさってください。

さて、今回ご紹介しますのは「志摩聡介(しま・そうすけ)」と「向井司(むかい・つかさ)」についてです。

志摩は、本作のメインキャラクターの一人です。

51話「ドキドキの海<1>」から55話「ドキドキの海<5>」まで、本作のメインキャラクター「岩倉美津未(いわくら・みつみ)」(以降、みつみと表記)の誘いで、男女の仲良しグループでみつみの実家に泊りがけの旅行に行きます。
みつみと「江頭ミカ(えがしら・みか)」、「村重結月(むらしげ・ゆづき)」、「久留米誠(くるめ・まこと)」、志摩、向井の6人。

旅先で皆で露天風呂に入ることになります。男女別。
男子の2人、志摩と向井が露天風呂に入って、そこで志摩が向井に質問をしました。
みつみのことをどう思っているか、です。
恋人としてとかではなく性格や性質的な意味で、どのような人間に見えるか、という質問。

ここでのやり取りで、志摩がみつみのことをどう思っているか、が明らかになります。
物語的にたいへん重要な場面になっていると個人的には考えています。

恋愛に結びつけない

志摩はみつみを恋人にすることを、「そんなこと」と表現しました。

オレはさぁ
みつみちゃんのこと 人としてすごい好きなわけ
みつみちゃんがそうしたいなら「恋人」もできるかなと思ったけど
そんなもんにしちゃうのは なんか嫌だったんだよ実際

Scene53「ドキドキの海<3>」(9巻150ページ)より

引用部がそれです。
漫画では「そんなもん」に傍点がついています。

恋人のことを「そんなもん」と表現している。
ここに志摩の恋愛観がよく表れていますね。

相違

ここで向井が気づきます。
「『前提』がおかしい」と。

「人として」「友達として」「恋人として」
この3タイプのうち、どの「好き」がスゴイと思うのか?

3タイプの好きを書かれたボードが、それぞれ「スゴイ」「ふつう」「スゴくない」のどこに該当するかを、2人が配置していきます。

すると、向井は「スゴイ」に「恋人として」を、「ふつう」に「友達として」を、「スゴくない」に「人として」を配置。
志摩は「スゴイ」に「人として」を、「ふつう」に「友達として」を、「スゴくない」に「恋人として」を配置しました。

好きの価値観が真逆なのですね。
ここが志摩の考え方と、みつみの考え方の、最も大きな違いだったのでしょう
し、2人が付き合ったけどすぐに別れた理由でもあります

具体的に

具体的にどういうことか、見ていきましょう。

向井の場合

まずは向井の場合から。

「人として好き」って大前提のベースだろ
そこに特別な感情が乗っかるから恋とか愛になんじゃん
まして恋人なんてたったひとりの狭き門だぞ?

Scene53「ドキドキの海<3>」(9巻151ページ)より

引用部が向井の考え方です。
彼の考え方が一般的なものではないでしょうか。
私もこの考え方です。

志摩の場合

そして志摩の場合です。

別にひとりじゃないよ?
思ってたのと違った~って別れて次 行ったりすんだし
恋人って性的な魅力があれば中身のジャッジ甘くなるでしょ?
そういうバフがかからない「人として」のほうが難しいと思うけど

Scene53「ドキドキの海<3>」(9巻151ページ)より

引用部が志摩の考え方。

確かに言われてみれば、そういう考え方もできそうですね。
向井も「そー言われると…」と迷いが生じている様子。

志摩は両親が離婚していいて、彼も母親も大変な想いをしました。
家庭環境が「好き」の考え方にも大きく影響を及ぼしていそうです。
見方を変えれば、作中の言及はされていませんけど、向井はそういう体験がないのかもしれません。

でもわかるでしょ?

「でもわかるでしょ?」と私は思います。
自分の恋愛観が絶対的なもので、世界中の人が自分と同じに思っている、なんて考えている人は、そうそういないはずだからです。

他の人の恋愛観に触れたことがない、なんてことはまずあり得ないですよ。
友だちと話しているときに感じることもあるでしょうし、漫画や雑誌、映画、ドラマ、アニメ、小説などの外部の情報からも他の恋愛観に触れないで高校生までになることは、なかなか無いことです。

しかも彼は恋愛をしたことがない人でもなく、むしろ、おそらく同年代の平均よりずっと多くの女子と付き合ってきているでしょう。
付き合っている最中や、付き合う前、別れ話をするときなど、恋愛観の話にならないことはないじゃないですか。そう思いますけどね。

みつみはどっち?

大事なことはみつみは、向井の考え方なのか志摩の考え方なのか、はたまたどちらの考え方でもない、新たな考え方なのか、です。
そもそもが、みつみをどう想っているか、という会話から始まったやり取りですからね。

これはわからないですけど、向井と同じ考えや、彼に近い考え方である可能性が強く示唆されているように、私には読めます。

恋愛自体の優先順位が下がったって感じかな?

Scene57「ほくほくの登校日」(10巻86~87ページ)より

引用部のセリフを見ても、少なくとも「恋愛を友達より上位には捉えている」ように読み取れます。
「人として」が恋人や友達より上位にあるかどうかは、ここからはわからないので、はっきりとしたことは言えないものの。

と言いますか、志摩と同じ考え方の人は作中登場人物ではごく少数でしょう。作中にいるとすれば「八坂千笑璃(やさか・ちえり)」くらいではないでしょうか。
彼女は志摩に近い存在として描かれていますから。

顔真っ赤

2人の「どの好きがすごい」談義の場面の後、皆で砂浜に行きます。
そこで志摩は、みつみから小さな「カニ」を手渡されます。

みつみが向井と同じ恋愛観だったら、このカニだってもしかしたら、彼女にとって特別な何かなのかもしれない。
そう考えた志摩の反応が、彼の心理を表しているようです(Scene53「ドキドキの海<3>」9巻166ページより)。

このときの志摩の反応は、彼の心理的にも、物語の展開的にも大きなターニングポイントになっていると思いますので、彼がどのような反応を示したかは、ぜひ9巻をご覧になってください。

まとめ

まとめます。

『スキップとローファー』の志摩聡介と向井司の恋愛に関する考え方の談義は、とりわけ志摩のみつみに対する想いを測る上で重要なやり取りだった。
向井は恋愛を特別視しており、それは一般的な恋愛に対する捉え方と個人的には思える。
志摩は恋愛を特別視しておらず、人としての好きをより重視している。理由を読むと彼の考えもそれなりに納得できるものだった。志摩が過去に他の恋愛観に触れてこなかったなんてことは考えにくい、とは思うが。
みつみは向井と同様、恋愛を特別視する立場として描かれていると受け取れる。
みつみの感情を知ったことで、志摩が示した反応は、今後の彼の行動の大きな変化につながっていて、物語的にも大きなターニングポイントになっている。

というのが、私なりの解釈と感想でした。

本文に書いたことは私一人の解釈や感想、意見です。言い換えると一人の意見でしかないので、書かれたことを絶対視なさらず、参考程度に抑えてご覧になってください。

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先ほど志摩の恋愛観的にも物語的にも大きなターニングポイントと書いた、53話「ドキドキの海<3>」は単行本9巻に収録されています。

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