『スキップとローファー』氏家清彦は志摩を否定する役割と思う理由

スキップとローファー
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スキップとローファー』にて、メインキャラクター「岩倉美津未」が高校2年に進級してから、キャラクターが何人か追加されています。

中でも物語に絡む活躍を見せているのが「八坂千笑璃」と「氏家清彦」の2人です。
今回は氏家を取り上げます。

作者さんはどうして氏家をストーリーに登場させたのか。
私は、それは「志摩を否定するため」だと考えています。
八坂がみつみを否定するキャラクターと私は受け取っていて、もう一方のメインキャラである志摩も否定する人物が必要となり氏家を投入した、と。
否定するとはどういうことか、具体的に氏家は志摩に何をしたか、この記事では書いていきます。

ネタバレについては、アニメ1期終了以降の内容に触れますので、アニメ派の人にはバレ要素を含まれます。バレても大丈夫な方のみ下方スクロールをお願いいたします。

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スキローの氏家

作品名スキップとローファー
作者高松美咲
ジャンル青年、学園、恋愛
発行社講談社
レーベルアフタヌーンKC

前情報です。私は単行本から情報を得ているため、『アフタヌーン』の連載を読んでいません。
本文の内容は、厳密には最新ではないですので、ご了承いただければと思います。

さて、今回ご紹介しますのは「氏家清彦(うじいえ・きよひこ)」についてです。

氏家は、本作のメインキャラクター「岩倉美津未(いわくら・みつみ)」(以降、みつみと表記)が、高校2年時のクラスメイトになった人物の一人です。
「八坂千笑璃(やさか・ちえり)」も同様ですね。

氏家の特徴は、少々乱暴に表現すれば男版のみつみです。

どこが似ているかというと、(学校が進学校なので全員ですが)頭がよいこことと、陰キャに見られること、運動部ではない(生徒会)、一般的な視点でスクールカーストのトップにはなかなか出てこないタイプ、という点で共通しています。

見た目は、ファッションではない長髪、黒髪、ダサい眼鏡、体型は細いです。当然彼女がいたことはないでしょう。運動が苦手、人見知り。
こういった特徴があります。
みつみは人見知りではないですし、非公開ながら志摩という、他の女子が羨む彼氏がいたこともあるので、この点で大きく異なります。
みつみは見た目はカースト下位なのは見た目など一部属性だけで、実際はカースト上位でしょうからね。

てか 一緒にいすぎて付き合ってんじゃね? って噂だよね 生徒会コンビ
陰キャには陰キャの恋があんだね~

Scene50「ギクシャクの登校日」(9巻62~63ページ)より

志摩の2年時の取り巻きの女子たちが、みつみと氏家を見ての発言が引用部です。
陰キャという意味では、2人とも同じカテゴリーに入る、という認識で間違いなさそうですね。

氏家は志摩を否定する存在?

私は、氏家は八坂と同様の目的をもって、作者さんと編集者さんが投入を決めたキャラ、と思っています。

それは氏家は志摩を否定するための存在ではないか、ということです。
八坂はみつみを否定するための存在、と私は考えています。

「怪物」は「誰にも受け入れてもらえない」生物ですよね
その役まで「大体の人間から受け入れられる側」の人が奪うのは
傲慢では と思います

Scene61「ムカムカの地区大会」(11巻41ページ)より

引用部は、原作を読んだことのある氏家が、演劇部の演技について意見を求められた際の台詞です。
演劇部で『フランケンシュタイン』の怪物を、志摩が演じることになりました。

ほぼすべてを手に入れている人間が演じたって現実味や真実味がない、ということでしょうか。
彼の厳しいコメントを聞いた志摩は「なんッだそれ」と、顔を高揚させて怒鳴りました。
みつみは「志摩くんが怒ってるところ初めて見たかも……」とドキドキしながら思っています。心の中では怒っていることが何度かありましたが、これほどまで表情に出したことは、確かに稀かもしれません。

み「言い方ってものがあるよ! がんばってる人に……」
氏「その『がんばり』さえ評価されない世界線があるんです あの人にそれがわかると思えない」

Scene61「ムカムカの地区大会」(11巻43~44ページ)より

志摩が怒ってその場から離れた直後に、みつみが氏家に言い方があるでしょとたしなめ、氏家がそのたしなめにも屈せず、さらに自分の主張を続けている場面です。

踏みつける

この場面は志摩聡介という人物を、確定させるために重要だったと、個人的に思っています。

オレの需要はここ
隣に置くとステータスを底上げするような「魅力的な男性で」
「頼れるいい奴な同性」
いつもニコニコ機嫌がよくて
大抵のことは嫌がらずに聞き入れる
そうじゃないオレに価値なんてないから
小さな不満は飲み込め
利用しているのはお互い様だしね
怒らないでよ
割に合わないじゃん

Scene46「ぽかぽかのピクニック」(8巻130~133ページ)より

それまでも志摩は、自分のことを母親から過去を奪われた人間だと思っていたのでしょう。
その台詞のあるコマを見ると、小学生時代から、自らのステータスを上げるための装置のように彼を利用する人間も少なからずいて、奴らにも奪われたと彼は思っているようです。

母から、母の望むような子役になるように仕向けられ、それがうまく行かないと虐待めいたことまで言われ、責められてきて、いつしかそれに耐えられなくなり、最終的には母親を始め、周りに心を閉ざすしてしまいます。

閉ざすと言いましても、(対母親を除けば)彼は表面上、人当たりのよいし、誘えば断らないし、いい奴です。
しかし、それは彼が「皆の望む志摩聡介」を演じることで、体裁を繕っているだけであって、彼の本心ではありません。
その代わりに自分は、周りから支持されたり好意をもらえたりする、という良い想いをしてきた。自分のステータスも上がっていく、というウィン・ウィン。

そういった、これまでの志摩を否定したのが、先ほどの氏家の言葉です。

違う 違う違う違う
オレだって奪われてる
だから奪い返す
……誰から?
与えてくれる人も踏みつけて?
こんなにイラつくのは図星だからだ

Scene61「ムカムカの地区大会」(11巻48~50ページ)より

しかし、当の志摩は今までの自分を否定された想いになっているようです。

引用部のうち「与えてくる人」の台詞(モノローグ)のコマでは、子役からの友だち「福永玖里寿(ふくなが・くりす)」と、学校で仲のいい「江頭ミカ(えがしら・みか)」と「向井司(むかい・つかさ)」、そしてみつみが描かれています。
クリスは志摩が子役時代に色々あってからも友だちで居続けてくれています。
ミカは彼のことを好きで告白したけど彼は断りました。が、色々想うところはあるに決まっているのに、断っても尚、友人関係を続けてくれています。
向井は中学からの友だちで、彼が体裁を繕っていることを知っているのに、尚、仲良くしてくれていて、何を隠しているかわかっていないのに、彼に深く入り込まないようにも気を遣ってくれています。
みつみは言わずもがな。

彼らの想いを踏みつけている、と志摩自身も感じたのでしょう。
それは、氏家に指摘されたことで感じ取れたこと、であったはずです。

結果変われたのか

与えてくれる人がいることに気づけた、彼らを踏みつけていることにも気づけた志摩は、その後、変われたのか?

もー考えなしで傷つけたりはさ
しない
てかもーやめたい本気で
もっかいだけ信用して友達として
そんでそっとしといてほしー

Scene66「てくてくの修学旅行<4>」(12巻16~17ページ)より

61話で氏家に指摘され気づけたことは、66話には先ほど挙げた、自分に与えてくれた人たちを傷つけている自覚が芽生えています。
自覚できているだけでなく止めたいと思っていますし、行動で示そうとさえしています。

明確に変わった感は記事作成現在のストーリー進行ではまだ感じ取れません。
修学旅行のデートも、文化祭終わりのみつみへの◯◯も、自分がやりたいからやっている、相手のことを考えての行動かと言われると、そうではない気がします。
しかし、変わろうと思っていきなり変われることでもないかもしれないですし、自覚しているだけでも雲泥の差がありそうですから、今後に期待したいですね。

みつみでは駄目な理由

志摩を否定する役割を、みつみに演じさせればいいのでは? という意見がもしかしたらあるかもしれません。
しかし、個人的にはみつみにはその役割は無理だろうと思います。

実際
逆の立場だったら
岩倉さんは
志摩くんをかばうんだろうなぁ

Scene44「くしゃくしゃの心」(8巻69ページ)より

引用部は八坂のモノローグです。心のなかで志摩とみつみのことをあれこれと想像し、みつみという人間や彼女の思考を分析している場面です。

八坂がというより、作者さんが引用部のように考えているから、この場面を描いていますよね。
志摩に何かあって、そこから彼の考え方や生き方を否定する流れになっても、みつみにはそれを言うことができないと思われます。
よって、みつみが志摩の否定をする役割は担えないだろうなと考えます。

だから、作者さんは彼女に似た存在、氏家を登場させ、代わりに否定する役割を与えたのではないか、と。
否定するために登場させた、と言ってもいいでしょう。という考えです。

まとめ

まとめます。

『スキップとローファー』の氏家は志摩のこれまでを否定するために登場したと捉えている。
彼は、受け入れてもらえている人間が、受け入れてもらえないフランケンシュタインの怪物役を射止めたことは傲慢だと言い放ち、それは志摩の図星をついた。
それを機に志摩は、自分が周りを利用される代わりに自分も周りを利用している、利害関係をメインにした人間関係を改めようと考えるようになっている。
それは、自分に無償で「与えてくれる」人だっていると気づけたことと同じだった。
行動でもそれを表そうとはしているようだが……。

というのが、私なりの解釈と感想でした。

本文に書いたことは私一人の解釈や感想、意見です。情報を鵜呑みになさらず、参考程度にご覧になってください。

ということで、今回はここまでになります。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました!

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例えば、志摩くんがフランケンシュタインの怪物役のことで氏家くんに図星を突かれた場面は単行本11巻です。ぜひご覧になってください。
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修学旅行でのデートで、人間的にみつみに追いつけるよう頑張る、的な発言をしたことも、こういうことだと思います。たぶん。

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