『スキップとローファー』八坂千笑璃はみつみを否定する役割と思う理由

スキップとローファー
記事内に広告が含まれています。

スキップとローファー』にて、メインキャラクター「岩倉美津未」が高校2年に進級してから、追加されたキャラクターが何人かいます。

中でも物語に絡む活躍を見せているのが「八坂千笑璃」と「氏家清彦」の2人です。
今回は八坂を取り上げます。

作者さんはどうして八坂を登場させたのか。
私は、それは「みつみを否定するため」だと考えています。
メインキャラを否定するとはどういう意味か、をこの記事では書いていきます。

ネタバレについては、アニメ1期以降の内容に触れています。アニメ版からのみ、情報を得ている方にとっては強いバレ要素が含まれますので、バレても大丈夫な方のみ下方スクロールをお願いいたします。

また、当サイト内の画像リンクとテキストリンクは広告が含まれます。こちらもご了承なさってください。

スキローの八坂

作品名スキップとローファー
作者高松美咲
ジャンル青年、学園、恋愛
発行社講談社
レーベルアフタヌーンKC

前情報として、私は単行本から情報を取得しています。『アフタヌーン』の連載を読んでいない、ということです。
つまり本文の内容は、厳密には最新ではないことになります。ご了承なさってください。

さて、今回ご紹介しますのは「八坂千笑璃(やさか・ちえり)」についてです。

八坂は「氏家清彦(うじいえ・きよひこ)」らとともに、本作のメインキャラクター「岩倉美津未(いわくら・みつみ)」(以降、みつみと表記)が高校2年に進級した際の新しいクラスメイトです。
メタ的に言えば「テコ入れ」のための追加キャラでしょうか。

八坂の性格や性質を簡単に言いますと、女版「志摩聡介(しま・そうすけ)」です。
志摩はみつみと並んで本作のメインキャラの一人で、人ったらしな人として描かれています。

その意味で八坂は志摩によく似ています。要するに「男たらし」です。
色々な男に意味ありげな言動をして、自分のことを好きなんじゃ? と思わせておくだけ思わせておいて、でも実際にはつき合ったりしない。
彼女がいない男子ならまだしも(よくはないですが)彼女がいる男子にも同じように振る舞うものですから、女子からの評判はすこぶる悪いです。
志摩は同性にも人気がありますから、その点は大きな違いかもしれません。

八坂はみつみを否定する存在?

私は、八坂に関して、作者さんはある「目的」を持って投入したキャラと思っています。

それは八坂はみつみを否定するための存在ではないか、ということ。

あなたは実直で明るくて
万人受けはしなくても理解者が周りにちゃんといる

Scene45「ザワザワの新生徒会長」(8巻113ページ)より

引用部は氏家のみつみ評です。
まさに言い得ていて、純粋、素直、明るく、人によって態度を変えない、人と壁を作らない人です。

運動こそ苦手ですし、幼馴染の「遠山文乃(とおやま・ふみの)」曰く「すっごい抜けとる」(Scene52「ドキドキの海<2>」9巻137ページより)ですけど、家庭環境に恵まれて、勉強もできて、志摩や「村重結月(むらしげ・ゆづき)」といった学年や学校を代表するレベルのイケメン・イケジョから好かれてもいます。

主人公として、人としてほぼ完璧なのですよね。
聖人かというレベルで完璧すぎて、逆に引いてしまいそうになるくらい。
そんな「なろう系」の主人公のようなスペックの高さがみつみの魅力なのでしょうけど、個人的に苦手なところでもあります。

そんなみつみを否定するために投入されたのが八坂ではないか、という私の意見です。

(そうだね)
(そのとおり)
(あなたが正しい)
…岩倉さんは
他人の評価なんかどうでもいいって言い切れるくらい
愛されて生きてきたんだね

Scene44「くしゃくしゃの心」(8巻72~73ページ)より

カッコ内はモノローグで、声に発していません。カッコなしは声に出した台詞です。
私の判断でカッコを入れています。

みつみと志摩が内緒でつき合っているとき、2年時の彼の取り巻きの女子が、2人の仲を疑います。
しかしすぐに、付き合っている訳ないかと、みつみを見下すように自らの考えを否定したことに対して、志摩はみつみをフォローするでもなく、場を取り繕うような態度をとったのですね。
それにして対してみつみは、恋人である自分をかばってくれてよかったんじゃないのか、と怒るのですが、その場にいた八坂はみつみの味方をするより、彼のことを(全肯定まで行かずとも)フォローしました。
それにも納得の行かないみつみは、さらに不平を続けたものですから、八坂は引用部のような発言をしています。
みつみが食い下がらなければ、ここまでのことは言わなかったと思うのですが、彼女にとって初の恋人ですし、特別扱いされたかったのです。怒りたくなる気持ちはよくわかります。

この発言は、親子関係や兄弟関係を含む人間関係において、ほぼ挫折をしてこなかったであろうみつみに対する、強烈なカウンターになっています。

なんで そんなこと言われなくちゃ……
鉛が 胸に落ちたみたい

Scene44「くしゃくしゃの心」(8巻75ページ)より

それを証拠に、八坂の言葉を食らったみつみは、おそらく人生で初めての感覚を覚えています。

志摩にはできない

みつみという存在を否定するためには、彼女と真逆の人物が必要でした。
逆と言ってもそれは容姿や性別のことではなく、「環境」ですね。
家庭環境に恵まれず、親を始め周囲から「愛情を受けてこなかった人」が必要だった、ということ。

真逆の人物というと、志摩がまさにそれです。
家庭環境が複雑で、両親は離婚、母親からある種の虐待を受けていた(愛情が行き過ぎたからか自己満足のためかわかりませんけど、母親から過度の期待を負わされて精神的にまいってしまう)、母親の言動から彼は人の心を読んで、人から求められる志摩聡介を演じるようになっていました。
その一方で他者に対して壁を作って、好かれつつも踏み込んでこさせないように振る舞う、仲がいい人は周りにたくさんいるけれど、真に心を許せる人はほとんどいない(正しくは「いなかった」)。
そんな子が志摩です。

そんな彼こそ、みつみの存在を否定する人材としてうってつけと思います。
しかし、彼はみつみのことを好かなければいけません。そういう設定なので。
だから志摩にはみつみを否定する役目を負わせられない。
ならどうするか、志摩のような人物をもう一人登場させよう!
ということから生まれたキャラが八坂と私は想像しています。

どうして否定したかったか?

私の考えが正しかったとしてですけど、作者の高松美咲さんは、あるいは編集者は、どうしてみつみの存在を否定したかったのか。

それは作品の「延命」のためではないか、と私は思っています。

なろう系のまま作品を終わらせたって、スキローは人気作であった可能性は高かったと思います。
ただその場合はあまり長くは連載を続けられなかっただろうとも思います。
幸せな話ばかりではネタが続かない、とは容易に想像できますよね。
逆に、人の不幸は蜜の味という言葉があるとおり、不幸な話は受け手側の感情を揺さぶってくれますから。

志摩の過去編ばかりやっていても読者は飽きて離れてしまうかもしれませんし。

それならと、なろう系主人公のようなみつみの存在を否定する話を持ってきてはどうかと。
(一つ上の項目にあるとおり)そのためには志摩では駄目で、否定できる背景を持ったキャラが必要だ。
会議でそういう話になったのではないでしょうか。

これはあくまでも私が勝手にそうではないかな、と想像・妄想をしているだけです。
作者さんがそのような発言をしたとか、編集者が発言をしたとか、そういうことではありません。ご注意を。

奥行き

そして、結果的には物語に「奥行き」が出た印象はありますね。

うーん
ちえりちゃんなりの美学がありそうで
何言っても響く気がしない

Scene64「てくてくの修学旅行<2>」(11巻137ページ)より

無双状態だったみつみが、八坂に「価値観が絶対的に異なる人がいるんだ」という現実を突きつけられることで、それまでは順調すぎて、ある意味平坦だった彼女の物語が、起伏を生むようになりました。
無論、それまでの彼女だって何もせずに無双できていたはずはないのですけど。

八坂の言葉だけではありません。
この頃のみつみは、大きな壁にぶつかっています。

好きな人と付き合えたけれど、相手は自分とは好きの種類が異なっていた。
八坂からは今までの人生や価値観を否定されるような言葉を言われた(上記)。
勉強も友だちも生徒会も彼氏もすべて欲しかったのだけど、全ては無理なことがわかってしまった(「しまった」が重要)。

大人になった

ここまで思うようにいかないかったことは、彼女の人生で初めてと思われます。

この結果、みつみはどうなったか。
端的に「大人になって行っています」。

江頭ミカ「何だかドライだなー」
久留米誠「大人…」
結月「みつみが大人の階段のぼっちゃった~~~」
(いずれもScene57「ほくほくの登校日」10巻87ページより)

彼女たちの発言は、みつみが志摩と別れたことをしばらく黙っていたけれど、石川にあるみつみの実家へ友だち皆で旅行をした後、やっぱり話すことにした、その告白を受けてのものです。

みつみは自分の限界を知ることで、自分の形が明確になり、それと同時に、結月の言うところの「大人の階段をのぼった」のだろうと想像します。
すべてを手に入れることはできないとわかった彼女、生徒会や氏家との関係性という壁は乗り越えられました。志摩との好きの意味の違いという壁は手放すことにしました。八坂から言われたことや八坂自身との関係性は記事差曲現在、保留にしているように私には見えます。

とりわけ八坂のことは、今、答えを求めない方がいいのでしょうね。
あまりに彼女のことをわからなすぎるので。
志摩たち皆のように、もっと知ってからでも遅くはない、という。

まとめ

まとめます。

『スキップとローファー』の八坂はみつみという存在を否定するために登場したと思われる。
みつみは、彼女なりの苦労はあっても、周りから見れば無双状態とも思えるほど、すべてが順調で、すべてを手に入れているかのよう。それはある意味で物語的に平坦で、奥行きがない。
言ってしまうと物語の寿命を延ばすために、八坂は作られた。
みつみを否定するかのような八坂の発言は彼女に、今まで感じたことない痛手を負わせ、結果として、彼女の人生に輪郭をもたらせ、人間味が増したように、大人にさせたように感じられる。

というのが、私なりの解釈と感想でした。

本文に書いたことは私個人の解釈と感想になります。これが絶対的に正しい意見だと言っているものではありませんので、情報を鵜呑みになさらず、一意見として受け取ってくださると嬉しいです。

みつみを大人にさせたのは、志摩のことも大いにあるでしょうね。
みつみの恋愛に関しては八坂の役割ではないので彼の言動次第。どうなるのでしょうね、彼らは。

ということで、今回はここまでです。
最後まで読んでくださり、誠にありがとうございます。

今回の考察の場面を原作で読んでみたいあなたへ

今回の考察はいかがだったでしょうか?
この記事に掲載されているエピソードを漫画で読んでみたい!
そんなあなたへ、オススメできるものがあります。

例えば、みつみが大人の階段を上ったと周りから思われた場面は単行本10巻に載っています。ぜひご覧になってください。
※以降のリンクは広告です。

そう言えば、修学旅行から帰って以来、志摩の過去の話ばかりになっていて、八坂のことが脇に追いやられているような。
彼女の今後が気になるので、近いうちにまた彼女の物語を読みたいものです。

Kindle Unlimitedもオススメ!

今回ご紹介した他にも、世の中にはまだ見ぬ素晴らしい恋愛漫画がたくさんあります。そんな新しい作品との出会いを広げてくれるのが、Amazonの読み放題サービス『Kindle Unlimited』です。

Kindle Unlimitedの特徴

  • 500万冊の電子書籍が読み放題です。漫画はもちろん、雑誌も、ビジネス書も、実用書も対象です。
  • 月額料金が固定で980円(税込)と低価格です。無制限に読み放題で、1,000円の本を1冊読むだけで元が取れてしまいます。
  • 初回登録で30日間の無料お試しができます。
  • Kindleの専用端末だけでなく、iPhoneなどスマホやタブレット、パソコンでも利用できます。ダウンロードした本をオフラインで読むことも!

Kindle Unlimitedの30日間無料お試しのご登録はこちらからどうぞ。
>> Kindle Unlimited

コメント